野良猫の保護の仕方


LOVE & Co. (ラブコ)では、「野良猫を保護して欲しい」というようなお問い合わせを数多くいただきます。

ラブコ は大規模シェルターではなく、小さな規模でできる範囲での保護活動をしているため、受け入れられる頭数には制限があります。保護猫たちの健康と安全を守るため、キャパ以上の保護はしておりません。多頭飼育崩壊にならないようにするのも私たちの責任ですので、ご了承ください。

一生保護活動をしろとは言いませんが、せめて出会ってしまった猫はご自身でなんとか助けてあげてください。

ご自身で猫を飼える状況にあるのであれば、捕獲して飼ってあげるのがベストですが、飼えない状況の方も多いかと思います。

その場合、一時的に保護する場所を確保したら、猫の飼い主さんを探してあげてください。

1.捕獲

2.病院での医療ケア

3.保護場所の確保(猫のお世話)

4.里親募集

5.譲渡

1.捕まえ方

普段から慣れていて簡単に抱っこなどで捕獲できる子なら良いですが、人に慣れている猫であってもいざ捕まえようとすると警戒してしまって捕まえるのが大変な場合が殆どですので、捕獲器を使って捕獲します。保護団体・動物病院・行政など、捕獲器を貸してくれるところを探してみてください。

捕獲は、一度でうまくいかなかったり長期戦になるケースもありますので、普段からお世話をしている餌やりさんがいる場合は協力を頼んでみると良いです。

授乳中の子猫の場合、できれば母猫も一緒に捕獲してあげると良いです。下手に子猫に触って人間の匂いをつけてしまうと育児放棄してしまうことがあるので気を付けて。

捕獲器の準備

・扉以外の捕獲機の周囲を新聞紙などで覆います。
 猫は暗くて狭い場所が好きなので、猫がつい入りやすい工夫を。

・捕獲器の中全体に、ペットシーツやタオルなどを敷いておきます。
 特に踏板部分が分からないに隠します。

設置場所

・猫がいつもご飯を食べていてかつ安全な場所
 (人通り・交通量の多いところは避ける)

・凹凸が少ない平坦な場所

・私有地の場合は所有者に許可をもらう

・周辺住民に事前説明しておけるとベスト

ご飯

・踏板より奥に、匂いが強めなご飯(ウェットフード・ささみ・焼かつお・唐揚げ・ししゃも・焼き鯖など)を置く。

・踏板の手前に、誘導用のご飯の欠片を設置する

捕獲成功のポイント

・空腹時を狙いたいので、餌やりさんとの協力や事前の情報収集が大切になってきます。

・いつもごはんを食べている場所と時間帯がベスト。

・猫が行動的になる夜中や早朝もねらい目。

・警戒心が強い猫は、事前に捕獲器の中でご飯をあげておいて捕獲器の存在に慣らしておく。

・捕獲器を設置したら必ず現場で待機し(連れ去られたり虐待の危険もあります)、猫がいなくなっても戻ってくるのを待ちます。猫が警戒しないよう少し離れた場所で待機します。

・猫は敏感ですので、念などは送らず気配を消します。

野良猫問題は町の課題でもあります。

1頭の猫の保護をきっかけに、周辺住民と協力し合うことで、その後の野良猫への見守り体制ができることもあります。また、猫嫌いな方や、猫の糞尿などで困っている方にこそ、保護活動は理解していただけるはずなので、怯まずに何度でも説明を。猫好きさん・餌やりさんはじめ、できる限り多くの方を巻き込んで町の猫たちを見守っていけるようになるといいですね。

2.病院での医療ケア

無事に捕獲できたら、まず動物病院での診察が必要です。

すぐ病院に搬送できないときは、お風呂場や洗面所などの狭くて猫が落ち着く空間で保護しておきます。

病院へ搬送する際は、捕獲器のまま新聞などで包んだ状態がベスト(ノミダニをまき散らさないため)。健康に問題なければ、感染症予防のためにも以下の処置を行ってください。

・ノミダニ駆除
・ウィルス検査(エイズ・白血病)
・ ワクチン
・不妊手術
※検便や血液検査までできるとより安心です。

潜伏期間
エイズ・白血病のウイルスは、感染から陽性反応まで1~2ヶ月以上空くことがあるため、2か月後の再検査が好ましいです。従って、保護場所に先住猫がいる場合は、再検査までの間はケージ等でなるべく接触を避けた方がベター。

医療費は病院によって異なりますし、野良猫の医療ケアの経験が少ない病院もありますので、事前に動物病院へ問い合せておくと安心です。不妊手術は行政や動物愛護協会から助成金がおりる場合もあります。餌やりさんや周辺住民と良い関係が築けているようなら、カンパをお願いしても良いかもしれません。

3.保護場所の確保(猫のお世話)

里親さんが見つかるまでの間は、ご自身のご自宅で面倒がみれるとベストです。先住動物がいる場合でも、隔離スペースやケージを置く場所を作り保護することはできます。どうしても自宅での保護が難しい場合には、親戚や友人で一時預かりをしてくれる方がいないか相談してみてください。

生後間もない仔猫を保護した場合は、離乳するまでの生後一か月ぐらいまでは、数時間おきの授乳が必要になります。母猫も一緒に保護した場合には、授乳など基本的なことは母猫に任せてしまって大丈夫ですが、仔猫は体調の変化が激しいので、元気にスクスク育っているか、体重測定や健康チェックは毎日行っていきます。

人馴れしていない猫の場合、里親さんを見つけやすくするためにも、少しずつ人間に慣れてもらうように猫とスキンシップをとっていきます。威嚇が激しい場合には、無理に触ろうとはせず、オモチャなどの遊びやオヤツなどを介してスキンシップできることを増やしていきます。猫は顔周りを撫でられることが好きですので、はじめは棒などを使い、徐々にブラシや素手でも撫でられるようにしていきます。

また、突然知らない場所に連れて来られて、怯えや恐怖から威嚇する子が殆どですので、ここが安全な場所だということや、これから家族を探すのでそれまではお世話させてねと、いろんなことを声に出して説明してあげることもとても大切です。

4.里親募集

仔猫の場合は、社会化期の2ヶ月ぐらいまでは親兄妹と一緒に過ごせることがとても大切ですので、2ヶ月を過ぎてから里親募集を開始します。

小さくて可愛い盛りの方が里親さんが見つかりやすいですが、小さくて可愛いことを理由に飼いたいという方には少し注意が必要です。猫はすぐに大きくなりますし、家猫の平均寿命は今後益々のびますので、15年後や20年後も変わらず家族の一員として大切にお世話してくれるような方に、お願いしたいものです。

譲渡ポリシーを準備しておきます。

二度と野良猫に戻ることがないように「完全室内飼育」や「脱走防止対策」を理解してくださる方限定にしたり、里親さんの年齢や家族構成を制限しておくことは(高齢者や男性一人暮らしがNGというのが一般的です)、里親さんが見つかりにくくなるというデメリット以上に、猫が安全で幸せに長生きしてもらうために大切なことですので、里親募集サイトなどから他の方の譲渡ポリシーを参考にして、ご自身のポリシーを作っておくことをお勧めします。

一般的な里親募集の方法をまとめました。

身近な人に聞いてみる
親戚や知人で猫を飼いたい人がいないか聞いてみましょう。里親募集中の猫がいることを周囲へお知らせしたり、ご自身のSNSやブログで発信してみます。知っている方であれば安心して猫をお任せできますしね。

里親募集サイト
「ペットのおうち」や「いつでも里親募集中」などの里親募集サイトを使って、猫の情報をアップしてみます。猫と暮らしたい方がたくさんサイトに訪れますので、猫の可愛い画像と猫のアピールポイントなどを工夫して掲載していきます。

譲渡会への参加
インターネットで検索し、お近くで開催している譲渡会を探してみます。
猫は移動が苦手ですし、いつもと違う場所に行くとストレスと緊張で固まってしまい、普段の様子が伝わりにくいのがデメリットではありますが、猫と暮らしたい本気度の高い人が来場しているのと、里親希望者さんと対面してお話できるメリットもあります。ケージの前で気に留めてくださった方には積極的に話しかけ、猫の性格や特徴をお伝えし興味を持ってもらいましょう。また、普段の様子が映っている猫動画を準備してアピールしてみても良いかもしれません。

5.譲渡

里親希望者さんが現れたら、事前に準備していた譲渡ポリシーに沿ってヒアリングを行っていきます。もし少しでも気になる・不安な点がありましたら、クリアになるまで質問するか、クリアにならなければお断りをしましょう。お断りをする際には、相手の方を気遣う気持ちを忘れずに、トラブルにならないように留意します。

面会
猫がいる場所(ご自宅や一時預かりさんのお宅)に里親希望者さんに来ていただき面会します。猫の性格や必要なケアについての説明や、先住ペットのいるお宅では相性が合うかを検討します。

飼育の面でお願いしたいこと(終生飼育、完全室内飼育など)の説明を、きちんと理解し実行してくれそうか判断します。また、トライアル時に発生しがちなトラブル事例や対策も、事前に共有しておきます。

希望者さんのお宅にお子さんがいる場合には、執拗にオモチャにされたり追い掛け回されたりすることが無いよう、ご両親からお子さんにきちんと説明や注意ができるご家族関係かをみていきます(お子さんがヤンチャすぎないかも含め)。

安心してお任せできそうでしたら、猫のお迎えにあたっての事前準備を整えてもらう期間を設けます。室内の脱走防止対策や、ごはん・トイレ・猫砂・ケージなどを準備してもらいます。

ごはんは急に変えると下痢をする子もいますので、これまでと同じものを用意してもらって、メーカーなどを変える場合には、少しずつ量を変えて1週間ほどかけて切り替えてもらいます。

お届け
お迎えの準備が整ったらいよいよ猫のお届けに伺います。
希望者さんのご自宅に出向き、脱走防止対策やケージの設置場所などをチェックさせてもらいます。

猫砂はこれまで使っていた匂いがついたものを少し持っていき、新しい猫砂に混ぜてもらうと粗相の心配が減ります。また、元のお家の匂いのものがあると猫は安心しますので、いつも寝ている場所にタオルケットなどを敷いておき、それも一緒に持ち込むと良いです。

また、できれば仮譲渡契約書を交えておくと何かあった時に安心です。
里親詐欺は増えています。幸せな家族を演じて譲渡会などに忍び込んでいますので、注意が必要です。大切な猫が虐待されたりどこかに売り飛ばされたりしないよう、お届けの際に少しでも気になることがあればすぐに中断して、猫と一緒に帰ってくる勇気をもってください。猫を守ることができるのはアナタだけです。

トライアル期間
お届けから本譲渡まで、2週間~1か月くらいのトライアル期間を設けておくと双方にとって安心です。トライアルといっても、気軽にトライアルして気軽に戻されてしまっては猫にとってもストレスになってしまうので、トライアル期間に予測不能な事態がない限りはそのままお迎えしてもらう(本譲渡)前提のトライアル期間となる旨、事前にお話ししておきましょう。

猫は環境の変化にとても弱い動物です。新しい環境に行ったことで普段みられない行動やトラブルが必ずといっていいほど起きます。事前に以下のことを里親希望者さんのご家族全員と共有し、猫が新しい環境に慣れてくれるまで、慌てずに気長に待ってもらうことが最も大切になります。

人間にも慣れ、肝がすわっている性格の猫以外は、ケージなどの狭いスペースからはじめます。いきなり家中フリーにすると、ベッドの下や物置の中に入ったっきり出て来ず、コミュニケーションできない状況が続いてしまいます。特に人馴れが完全ではない猫は、必ずケージからスタートし、 1週間~1か月ほど時間をかけて慣れてもらいます。ケージ越しにコミュニケーションが充分にとれるようになってから、少しずつフリーにするスペースや時間を広げていきます。ご飯やトイレでケージの扉を開けた際に脱走し、そのままケージに戻せないケースが多発していますので、注意が必要です。

先住ペットのいるお宅は、必ずケージからスタートします。先住ペットのヤキモチから、永遠に不仲になってしまうケースは多いです。いつも以上に先住ペットを気にかけてあげながらヤキモチを焼かせないようにするのがポイントです。先住ペットがケージ越しに興味を抱いたりちょっかいをかけてコミュニケーションをしたがる様子が見え(かつ人間にも慣れ)たら、少しずつドアを開けてコミュニケーションをする時間を増やしていきます。

不安から夜鳴きをする子も少なくありません。本気で鳴くと人間の赤ん坊の泣き声ぐらいのボリュームがありますので、防音が気になるお宅では、トライアル前にご近所さんへご挨拶をされておくとトラブルが減ります。

はじめの2,3日はご飯も食べずトイレもできないほど緊張する子もいます(それ以上になるようなら病院へ)。その場合には、ケージを大きなシーツのようなもので覆い、物音や人の気配にも気をつけてあげます。

本譲渡
はれて正式に新しいお家の子となります。保護時の医療費の一部を譲渡費としていただくケースが多いですが、その場合には事前に金額を伝えておきトラブルにならないようにしておきます。本譲渡契約書を交えておくと何かあった時に安心です。その後もできるかぎり里親さんとコンタクトをとりながら、猫が元気でやっているか見守れる関係性を築いていきます。

最後に

一部の人や団体だけの力では、野良猫問題はなかなか解決しません。

「助けてあげたい」と思う野良猫に出会ったアナタが、ぜひ手を差し伸べてあげて欲しいと願います。